十二国記

「灼眼のシャナ」のシャナの声が気になり、
チェックしたところ、
今や「ツンデレ」声優の代表となっている
「釘宮理恵」がやっているということで、
出演作を調べてみると、
「十二国記」の泰麒役、というのがあった。

「十二国記」というのは、もともと、
作家・小野不由美の代表作で、
俺自身、読んで、とても感動した小説だ。

数年前、NHK/BSでアニメ化されると聞き、
楽しみにしていたのだが、十二国に渡るのが陽子一人ではなく、
クラスメイトも一緒に行く。という話を聞いて、
あまりのギャップに、観る気すら起こらなかった経緯がある。

しかし、今回、「釘宮理恵」効果（？）で、
NHK製作「十二国記」のアニメを観てみる気になった。

まず、冒頭、やはり「月の影　影の海」からであったが、
実は原作（小説）では、この「月の影　影の海」は、
徹頭徹尾、終始一貫、主人公「陽子」の視点のみで描かれていて、
その、他に類を見ない物語の描き方が、
俺が特に気に入っている章なのだが、
初っ端からそれが崩れている。
（まあＴＶアニメだから仕方がないといえば仕方が無いのだが・・・）

しかも、「ヒンマン」の名前を最初に明かしちまいやがった！！

実はこの「ヒンマン」、
陽子に憑依し、妖魔と戦う能力を内部から陽子に与える
縁の下の力持ち的存在で、

小説では最後の最後、
陽子が王になるかどうか悩みに悩み、最終決断をする場面で、
ないものと振舞えといわれた主人の禁を破ってまで、
それまで頑なに閉じていた口を開き、
ずっと陽子と一緒に戦ってきた。（貴女は一人ではなかった）
という内容と共に、
初めて「冗佑（じょうゆう）」という名を教える。
という最高にカッコいいキャラクターで、
この物語の俺の一番のお気に入りキャラなのだが、

その魅せ場を一瞬で台無しにした。

杉本優香と浅野郁也という男女２人のクラスメイトが、
十二国に行くという事で、
世界観や設定などは全く別物になってしまったわけだが、

ある説によると、
この案は、原作者・小野不由美の中でも、
別の案として考えていた設定だというが、
それにしても杉本の勘違い度と浅野の思考パターンはあんまりだ。

まあ杉本の方は、最終的に蓬莱（日本）に戻り、
泰麒の話ともつながりができたので良かったが、
浅野のほうは、十二国の世界に自分が置かれている状況を、
「ゲームの中の世界」だと思い込み、見当違いの行動をしてゆくなどという設定は、
十二国記の世界観全く無視だ！！

しかも彼は、最終的に、蓬莱（日本）にも帰れず、
良心に従った行動も無駄に終わり犬死にするというのでは、
何のためにあの世界につれてゆく事にしたのか、全く無意味で、
製作者の真意がわからない。

同じ小説を読んでも、読み手が違うと、こうまで解釈が変わるものかと、
改めて思い知らされた。

まあ、そんな訳で「月の影　影の海」の章は
最初の方は飛ばし飛ばしに観て、最後の、
陽子が王になるところだけはじっくりと観るという観方をした。

それ以降、他の章にいたっては、
たいした変更もなく、逆に言えば、
それぞれがバラバラの話を、他のキャラも交えながら
うまくつなげているな。といった感じで話が流れていった。

肝心の「釘宮理恵」は、泰麒の子供時代をやっていた。
そのほか、雁国の延麒・六太の声を山口勝平さんがやっていたのだが、
ついついアイシールド２１の雷門太郎の顔がちらついた・・・
特徴のある声というのも考えものだ。

最初の「月の影　影の海」を除けば、
好きな小説をアニメで観れて、面白かったと思う。
ただ、キャラの顔の描き方が、
自分が小説で描いていたイメージと若干違っていたので、
此処に載せた画像は、
「ホワイトハートノベル」の文庫本の表紙絵を使用した。